2025年3月10日「北千住の店舗・共同住宅に71本の入札」
東京地裁開札トピックス(25.3.10日号)
北千住の店舗・共同住宅に71本の入札
収益物件のニーズには単純に投資としてというのと相続税などの節税対策のためという2つの側面がある。近時収益物件取引が活況なのは前述の投資ニーズの中で外国人の存在も大きい。投資ニーズに対しては収益利回りが大きな投資判断基準になる。
さて、2月26日開札ではJR常磐線「北千住」駅徒歩約6分に立地する築約37年で鉄骨造4階建の店舗・共同住宅が対象になった。土地は約28坪で幅員6m強と幅員4m未満の2項道路に面する角地である。建物は1階が約14坪の店舗(飲食店)と2~4階が1Rの部屋合計12戸から成っている。そしてこの内容で売却基準価額は2736万円であった。1階の店舗賃料は月額13万円で、1Rの賃料は月額5万円弱である。従って満室合計では月額70万円、年額で840万円も見込めるので売却基準価額で取得すれば表面利回り年約30%得られることになり、破格に安い売却基準価額設定と思える。
しかし、本物件評価書ではこの建物の築年が相当経過していることや、住居が人気の無い3点ユニットであること、そして半分近くが空室であるということで、収益還元価格を求めず、積算価格のみで算出している。しかも市場減価を同じ理由で2割以上して売却基準価額を求めている。結果として71本という大量の入札が行われ、最高価1億円強で競落されていった。結果として低すぎる売却基準価額が必要以上の入札を集めてしまった感がある。
もし、収益不動産人気を背景とした評価がこういった物件の評価にはなされるべきではないだろうか。