2024年12月2日「タワーマンション競売停止から一転再競落」
東京地裁開札トピックス(24.12.2日号)
タワーマンション競売停止から一転再競落
都心23区の中古マンションの売り出し価格が70㎡の部屋で8300万円超との報道があったが、都心部を中心にまだまだ上昇基調となっている。とりわけタワーマンションの人気は底堅い。11月20日開札では、東京メトロ有楽町線「辰巳」駅徒歩約11分に立地する築15年のタワーマンションが対象になった。専有面積30坪強の4LDK で、売却基準価額は5975万円であったが、これに対し19本の入札があり、最高価9280万円で再販業者が落札していった。この部屋は5階部分と低層階ではあったが、広い専有部分という希少性もあり、対売却基準価額55%超の上乗せ率での競落であった。
さてこのマンションは今年4月に一旦競売対象として入札期間に入ったものの停止し、今回再度競売対象になった。この競売の申立て債権者は住宅金融支援機構で、フラット35の延滞に起因しているが、債務者・所有者は他に法人名義の借り入れを購入6年後に行っている。マンション価格値上がりを背景とした担保価値上昇により融資を受けたようだが、そちらも返済が延滞し、信用保証協会の差押えとなっている。今年4月には一旦延滞債権の一部返済などを行い競売のリスケを行ったようであるが、結果として破綻が確定し、今般の競売に至った。自宅マンション値上がりにより、融資を引いている中小企業事業者もいるであろうが、事業が破綻してしまえば結果として自宅を失う。追加融資を受けた分だけ傷が深くなったとも考えられる。