2024年11月4日「住宅ローン破綻の練馬の戸建て」
東京地裁開札トピックス(24.11.4日号)
住宅ローン破綻の練馬の戸建て
先月日経新聞夕刊1面に「住宅ローン膨張すり減る家計」という見出しの記事が掲載された。この記事によれば家計の負債額が年収を統計開始以来で初めて上回ったという。この原因は高騰するマンション価格などによる住宅ローンの増加が主である。30代世帯に限ってみれば負債額は年収の約2.7倍であるとのことである。そういった傾向にある中、競売市場にはまだ住宅ローン返済事故からの対象物件は目立っていない。これは住宅ローンの返済に行き詰まっても、住宅価格自体が上昇し、売却によりローン残債の返済が十分できる不動産市場であることが背景にある。しかし、10月9日開札の対象となった西武池袋線「保谷」駅徒歩約14分に立地する一戸建ては住宅ローン破綻による競売物件であった。この物件土地は約23坪で、建物は築13年の木造2階建て、延床面積約22坪である。債務者・所有者は新築の時に不動産会社から住宅ローンを利用して購入している。この時の住宅ローン利用額は4400万円弱であった。今年に入り返済が止まり6月には金融機関の差押えが入った。この物件の売却基準価額は2523万円であったが、これに対し入札がこの日最高の28本入り、最高価3668万円にて再販業者に落札されている。この結果を見ると、もしこの所有者・債務者が戸建てではなく新築マンションを都内に購入していれば、任意売却で債務返済が可能ではなかったかと思う。都内マンションであれば購入時期から考えて相当の値上がりをしていたであろう。前述の記事を見て今後住宅ローン債務膨張で、マンション価格の下落が起これば、かつてのように住宅ローン破綻の競売物件が増加する可能性はあるようにも思った。