2024年9月16日「共有持分マンションが高上乗せ落札」
東京地裁開札トピックス(24.9.16日号)
共有持分マンションが高上乗せ落札
競売においては1つの不動産の共有持分が対象となるケースがたびたびある。通常銀行などの金融機関は共有持分を担保としての融資は行わないので、金融機関が抵当権を実行しての競売は少ない。共有持分の競売が生じるのは消費者金融などの債務に由来し、裁判を経由した場合が多い。事件番号で言えばヌ事件である。
8月28日開札では東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒歩約3分に立地する築22年で専有面積約21坪の部屋の共有持分2分の1が競売となったが、これがまさに消費者金融の裁判経由のヌ事件競売であった。
この共有持分2分の1物件の売却基準価額は1677万円であったが、これに対し11本の入札があり、最高価2897万円強にて個人が競落していった。共有持分にしてはかなり大きな上乗せ率であったのに驚かされた。確かに競落価格の2倍相当の5800万円弱であれば市場価格より少し安い感じはある。しかし、本物件は競売対象でない共有者が占有しており、その占有者には引渡命令は発令されない。あくまでその共有者との交渉により、共有持分の買取や明渡などを決めねばならない。そういうハンデを考慮すれば、競落価格は高かったようにも思える。次順位資格のある入札者、本件で言えば2561万円までの入札者は無かったのも高目の入札であったことを裏付けていよう。
また本物件の評価書においても、共有持分2分の1が対象ではあるものの、共有持分であることのハンデを勘案して全体評価の4割相当で評価されている。いずれにしろ競落者の交渉力が問われる案件だろう。