2024年9月2日「足立区の借地権建物を地主が高額落札」
東京地裁開札トピックス(24.9.2日号)
足立区の借地権建物を地主が高額落札
競売市場では借地権建物の割合が一般市場に比べると多い。これは不良債権化した債権の担保が借地権建物であると、任意売却による処理がしにくいということがある。それは譲渡にあたり、地主の承諾を得ることが必要であることもある。しかし、それ以上に老朽化している場合が多い借地権付建物の買い手が現れにくいことも現実である。特に相続財産が借地権建物である場合、相続人が相続することを望まないケースも多くある。特に債権の担保となっている場合、相続人は相続放棄を選択することも多いであろう。
7月31日開札ではJR常磐線「北千住」駅徒歩約23分に立地する借地権付建物が対象になった。そしてこの物件がまさに所有者が死亡し、相続人が相続放棄した物件であると思われる。建物は木造で44年を経過し、ベランダを始め至る所が老朽化し、破損している状況である。ただ借地は幅員約5.4mの公道に面している整形地で約27坪の広さがあるので、住宅地としては商品価値がある。この物件の売却基準価額は1045万円であったが、これに対し入札1本のみで、最高価2900万円で競落されていった。そしてその競落者はこの借地権の地主であった。地主としては、この競売で第三者が競落し、新たな借地権者と土地賃貸借契約を結ぶより、自らの所有権土地にこの機に是非ともしたかったのであろう。かなりの上乗せ率であったのも地主ならではである。借地権付建物の競売の場合、地主は有力な入札者と言えるだろう。