2024年8月5日「階高による格差広がる」
東京地裁開札トピックス(24.8.5日号)
階高による価格差広がる
東京23区の新築分譲マンション供給戸数は減少傾向にあり、その分中古マンションへの注目が集まっている。中でもタワーマンション、とりわけ上層階のマンションの価値が高い。 7月10日開札ではJR山手線「大塚」駅徒歩約4分に立地する「ステーションフロントタワー」の所在階が28階の2LDK、専有面積約25坪の部屋が対象になった。このマンションは築24年で、30階建てであり、対象住戸は上から2層目の上層階の部屋である。このマンションの売却基準価額は6864万円であったが、これに対し23本の入札があり、最高価1億690万円弱で再販業者が落札していった。落札価格の専有面積坪単価は428万円弱であった。ちなみにこのマンション、今年2月に成約事例があったが、それは専有面積約22.4坪の所在階が4階の部屋であった。8250万円の売り出し価格に対し、成約価格は8000万円であり、成約価格の専有面積坪単価は360万円弱であった。先の競落物件と比較すれば15%以上安いことになる。そしておそらく再販価格は専有面積坪単価が500万円程度となるであると予想されるが、それであれば成約事例より4割近い価格水準となる。
マンションの価格はそもそも上層部の方が従前から価格が高くなるものであるが、近年のタワーマンションは価格の階高差がかなり大きくなっている。また上層階で且つ専有面積が大きいほど専有面積坪単価が高い傾向もある。
ところで先の競落事例は強制競売のヌ事件で、先順位の抵当権が6000万円以上設定されていたものの、後から裁判経由で競売に付されている。申立て債権者が配当を受けられるのも上層階の希少住戸であったからと言えるだろう。