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2024年7月22日「縦割型区分所有ビルに大量入札」

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東京地裁開札トピックス(24.7.22日号)

縦割型区分所有ビルに大量入札

 昭和40年代の都心ビルの中には小さい土地単独では建築が思うようにできず、隣接土地と一緒に一棟の建物で造られたビルがある。建築基準法上、また登記上では2つのビルが1棟の建物扱いである。このような長屋形式の縦割型区分所有のビルは隣接するビルそれぞれが専有部分の区分建物となる。こうした場合、建替えや解体などは隣接するビル(専有部分)と協議して共同で行わねばならない。建築当時は老朽化した後のことはあまり考えていないことで、こういった複雑な権利関係のビルができてしまったのだろう。

 7月10日開札では東京メトロ半蔵門線「水天宮」駅徒歩約3分に立地するビルが競売対象であったが、このビルがまさにこの縦割型区分所有ビルであった。

 土地は公道面角地の約18.5坪で、その上に鉄筋コンクリート造6階建てで延床面積約89.5坪のビルが建っている。築年は約53年でかなり老朽化が進んでいるようだ。現状は全て空室のようで、競落後の明渡し作業は無さそうだ。この条件で売却基準価額は6592万円であったが、これに対しこの日最高の26本の入札が集まり、最高価2億7880万円にて競落されていった。土地代換算1坪1500万円強で正面路線価の約3.6倍相当である。現在の

都心の土地相場の状況を見れば考えられる水準ではある。しかし前述の権利関係であり、隣接の専有部分ビルと一緒に建替え・解体を考えざるを得ない。協議を纏めるための時間コストを考慮すればかなりリスクテイクの競落と考えられる。都心土地需要の堅調さが知れる競落結果であった。

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