2024年4月15日「雪ヶ谷の1R個人落札」
東京地裁開札トピックス(24.4.15日号)
雪ヶ谷の1R個人落札
日銀のマイナス金利解除により市中金利が僅かながら上昇した。しかし日経平均株価はその影響を受けず下落せず推移している。これは金利上昇幅が小さく、また円安の基調も変化がないことで投資家の買い意欲が堅調であるからであろう。そこでこの金利上昇が不動産価格に影響があるのかが気になるところではある。それを考えるにあたり、3月12日に開札があった2物件の競落結果を見てみる。この時点ではまだ日銀のマイナス金利解除正式発表前であったが、その気配が濃厚であり、入札者は金利上昇を織り込んでいたであろう。
まずは東京メトロ南北線「白金高輪」駅徒歩約7分の1Rマンション、築34年で専有面積約5坪の物件である。売却基準価額が674万円に対し、入札は8本あり最高価718万円弱で個人が競落した。このマンション滞納管理費等が150万円ほどあるので競落者は約870万円の投資となる。売却基準価額に対して上乗せ率約6.5%の競落価格である。このマンションは年約82万円の家賃収入があり表面利回り年9%強での競落なので再販業者が競落してもおかしくない。しかし結果は個人競落であった。
一方で同じ駅で同じ徒歩約7分の築20年のタワーマンション「シティタワー高輪」の33階部分で専有面積約72坪5LDK+αの部屋が売却基準価額3億80万円に対し入札が14本集まり最高価4億7650万円にて再販業者が落札している。売却基準価額に対する競落価格の上乗せ率は58%超と大きい。専有面積坪単価約662万円であり、先の1Rマンションの4倍を超える水準になる。同じ立地であっても古めの1R とタワーマンションでは競落水準が大幅に違う。金利上昇は収益1Rに影響しても都心タワーマンションには目先関係なさそうである。