2024年4月8日「高い公売見積価額」
東京地裁開札トピックス(24.4.8日号)
高い公売見積価額
昨年2023年の東京地裁本庁ではマンションの競落価格は売却基準価額に対し平均で約49%の上乗せ率であった。平均であるから、80%以上の上乗せ率での競落も見受けられた。こういった高い上乗せ率の背景には中古マンション価格が高値で推移している相場がある。しかし、東京地裁の場合売却基準価額を取引事例から導くのではなく、基本は土地を公示地価等、建物は再調達価格に対し経年劣化の修正を加えたもので導き、これを合計した積算価格である。もちろん昨今の相場を鑑みた修正は施しており、更には収益還元価格も算出している。ただそれでも相場から比して低い価格になる傾向にある。
しかし、不動産公売におけるマンションの見積価額(最低売却価格)は明らかに取引相場をベースにしているように感じる。ただ公売の場合見積価額の算出根拠は一切公開されないので、その確認はできない。しかし、例えば3月19日に開札となった東京国税局の公売マンションは明らかに取引事例がベースだと思われる。そのマンションは東急田園都市線「駒沢大学」駅徒歩約2分に立地する築7年弱で専有面積約27坪の3LDKである。このマンションの見積価額は1億2600万円で、専有面積坪単価は約460万円と、東京地裁では考えられない高水準だった。開札の結果、再販業者と思われる会社が1億3600万円強にて競落していった。この競落価格は見積価額に対しての上乗せ率は僅か8%弱である。ある意味東京国税局は相場に精通しているとも言えるだろう。
なお千葉地裁はマンションの売却基準価額算定に取引事例を採用しているので参考まで。