2024年4月1日「平成バブルの整理物件」
東京地裁開札トピックス(24.4.1日号)
平成バブルの整理物件
今年は日経平均株価が平成バブル崩壊後30年以上の時を経て更新した。平成バブル崩壊では多くの不動産会社や個人投資家が破綻した。以後長い年月を経て不良債権処理が行われ、平成10年代におおよそその処理が終わっていったと思う。ところが今年3月12日開札で、平成バブル処理案件が対象となった。それは申立債権者が平成バブル不良債権処理の主役である(株)整理回収機構であり、その債権は破綻した銀行である東京相和銀行由来のものであることから分かる。昭和の終わりから平成当初の頃の債権回収が30年を優に超えて処理されたのである。
この物件は台東区谷中に所在する木造アパートであり、土地権利は借地権である。昭和63年2月に建設され、その時の建設資金の借り入れから、おそらくは不動産投資の為の追加借り入れがなされていった。借地面積は約60坪で、そこに木造2階建てで延床面積約50坪の共同住宅(1R7戸)建っている。売却基準価額は4121万円であったが、これに対し4本の入札があり、最高価4430万円にて競落された。
30年超経過し、競売申立てされたのには驚かされるが、おそらくはこれまで家賃収入で利払い等を債権者との合意に基づく金額でなされていたが、それがついに履行されなくなったのだろう。現に現況調査報告書を見ると建物の老朽化が進んでいて、空室も数部屋出現している。ちなみにこの物件に設定されている債権額は2.4億円であり、平成バブルの過熱度が分かる。30年超後も処理が続いているほど平成バブル崩壊の傷は深いということであろう。